「永い言い訳」日常が奪われる | 素敵なmono

「永い言い訳」日常が奪われる

西川美和さんの監督作品をはじめて鑑賞。

ドキュメンタリーのようなタッチで、じっくりと、じんわりと心に響く。

タイトルの「永い言い訳」って、誰に?
何の言い訳を言おうとしているの?

人によって違う気がする。

生きる事への色々なメッセージが込められている映画。
こころに染みる映画です。

永い言い訳

原作、脚本、監督:西川美和

キャスト:
本木雅弘 竹原ピストル 藤田健心 白鳥玉季 池松壮亮 堀内敬子 深津絵里

124分
PG12

日常が非日常に変わる時

普通の事が、ある日突然終わる。

20年、一言では言い表わせない時間の流れの中で培ったきた生活が、突然失われる。
そして、荒れてゆく生活。

大切な物ってなんだろう。

「お前は、悲しくないのか?」

泣けない悲しみもあるんだよね。

「愛していない、もうひとかけらも」妻の言葉。

その言葉の本当の意味を知るすべもない虚しさ。

情けない男やもめを本木さんが、とても自然に演じてる。

伸びてゆく髪が、切なさを表現してる。

同じ境遇にいる妻の親友の家族とのひととき。

正反対の男との友情なのか?
同情なのか?
よくわからない感情を持て余す。

人との縁は、不思議なもの。

自分にとって何が大切なのか?って考える時間。

子役の2人が、素晴らしい!

粗暴な父親と息子の関係が、切ない。

泣いてばかりの父親と、涙が出ない息子の対比が切なく心をえぐる。

妻を失ってから、妻を見つめなおす主人公の作家。

本木さんもすごいし、本木さんにすごいと言わせる池松くんの演技も見ごたえ有りです。

深夜のバス事故

高校からの親友の2人。

ほとんど画面には出てこない。
堀内敬子さんと深津絵里さん。

でも、その存在感は圧巻。

この2人で無くてはならないと思います。

2人が生前、仲良かったのだろうと想像できます。
海にも一緒に行っていただろうし、その時に幸夫の話をしていただろう。

だからこそ、2人が亡くなった今、幸夫の事を自然に受け入れている子供達がいる。

何の言い訳なんだろう。

「幸夫くん」

いつもそう呼ぶ、なっちゃん。

なっちゃんは幸夫くんの子供が欲しかったんじゃないかな。

なっちゃんに子供と幸夫くんが、遊んだりしているところを見せてあげたかった。

幸夫くんが人として、前向きに生きていこうとする軌跡を一緒に見つめる映画なのかな。。

どうしようもない男だけど、子供の力を借りて大人が成長する映画です。

西川美和監督作品

西川美和監督。

他の映画も観たくなります。

蛇イチゴ(2002年) 監督・脚本

female「女神のかかと」(2005年)監督・脚本

ゆれる(2006年) 監督・脚本・原案

ユメ十夜「第九話」(2007年)監督・脚本

ディア・ドクター(2009年) 監督・脚本・原作

夢売るふたり(2012年)監督・脚本・原案

どれも有名な作品です。

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