「母と暮せば」二宮和也は永遠の大学生 | 素敵なmono

「母と暮せば」二宮和也は永遠の大学生

1945年8月9日11時2分

物語の始まりは、普通の家族の朝の風景。
医学生の浩二が、大きな声で呼ぶのは大好きな「母」

薬を飲んだの?って聞くだけに何度も何度も大声で母親を呼ぶ。
ちょっと甘ったれ屋さんの末っ子。

いつものように元気に大学に出かけて行った浩二。

その後の出来事は、日本人なら誰もが知っている。

「母と暮せば」

2015年12月12日公開作品
130分

監督・・・山田洋次
脚本・・・平松恵美子、山田洋次

キャスト
吉永小百合、二宮和也、黒木華、浅野忠信、加藤健一、広岡由美子、本田望結、小林稔侍、橋爪功

1945年8月9日

夏の暑い大学の教室。

たくさんの学生が授業中だった。

挟まれるアメリカ軍の機内の映像がなんとも言えない。

どうして、日本に。
どうして、原爆が使用されたのか。

何が起こるのか、わかっているから辛い。

原爆投下のシーンは無い。
きのこ雲も、無い。

でも、その一瞬を巨匠はすばらしい映像にした。
何気ない、日常の風景が一瞬で破壊される様子を美しく表現した。

「あ、」一瞬ですべてが溶けた。

このシーンの後が一番泣けた。

戦争を知らずに産まれ、そして育った。

戦争体験はもちろん無い。
日本の敗戦も学校の教科書やテレビの映像から得た。

祖父からも、聞けずじまいだったし、
この地域も空襲で焼け野原だったとは聞いたが、実感としてはない。

復興激しい時代に育った。
高度成長期を支えたのは敗戦の屈辱からの力だったのか。

その前の悲しい日本の姿を、数少ない知識から溢れてきて、
涙が止まらなかった。

まだ、序盤だというのに。

日本人の誇りを忘れてはいけない。

戦争で失ったものや、得たものをきちんと表現していかなければいけないと思う。

「戦争放棄」私達日本人だから大きな声で発信していいと思う。

そんなことを考えながら見始めた。

三年後、母の前に浩二が現れる

三年後の8月9日。

墓地で原爆投下の時刻にお祈りをする人々。
その中には、浩二の恋人町子もいた。

この三年、町子は自分の母のように甲斐甲斐しく世話し支えていた。

「もう、浩二のことは諦めようと思うの」
母が墓地でつぶやく。
すべてが溶けてしまったために、亡くなったことを受け入れられないでいた日々をサラリと語る。

その夜。

夕食を用意していた母のもとに浩二が幽霊となって現れる

「やっと出てこれたよ。諦めてくれたから」

もう、亡くなったと認めてくれたから、幽霊として出てきたんだよ。

甘えん坊の末っ子の浩二は、時々母の前に現れるようになり、
よく喋る。

母親の日常もそうだが、一番聞きたかったのは恋人の町子についてだった。

町子と浩二

切ない若者の恋。
回想が初々しくて可愛い。

黒木華さん、可愛いですね。

戦後の日本の小学校の教師、

浩二は母の前にしか現れない

母は、町子の幸せを願っていた。

浩二との思い出を大切にしたい町子と町子を忘れられない浩二。

物語は、町子が浩二を忘れる決意をするように働きかける母の構図と

時間が進むにつれて、母の様子が徐々に変化していく。

役者さんの演技はどなたも素晴らしく、訴えかけるものが多く引き込まれていく。

吉永小百合さんは日本の誇り

吉永小百合さんは、日本が誇る可愛らしい日本女性である。

しっとりとして、美しい。

今なお、サユリストもたくさんいる。

いつまでも大女優で居続けてほしい人。

今回の撮影に入る前に、二宮和也に小さな頃の写真を貸してほしいとリクエストしたとのことです。

二宮くんはすぐに4枚の写真を用意して渡したといいます。

赤ちゃん、七五三など嵐前の写真だそうです。

吉永さんはその写真を毎日眺めながら、自分の息子として育てたシミュレーションをしたそうです。

画面からは本当に自然な親子そのものでした。

顔も似ているんですよねと嬉しそうにお話される吉永さんが、印象的でした。

映画の中で、浩二が現れてから徐々に体調が思わしくなる変化を見事に演じていらっしゃいました。
素晴らしいです。

山田洋次監督作品は、人が温かいと思いました。

戦後70年。

力を入れずに見れる、でも力強く戦争を語る映画です。

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